「都市型狩猟採集生活」とはなんぞや!
年末の、かなり元気なかったときに読んだ本のレヴューをいまさらしてみるトゥデイ。
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ゼロから始める都市型狩猟採集生活
著者:坂口 恭平 |
一般的に路上生活者・ホームレスと呼ばれる人々の生活様式に着目することで、僕らが当たり前と見なすやり方とは全く違うスタイルで、ほとんど(あるいは全く)金を使わずに、豊かな生活を送る知恵について考察している本。
著者の坂口は、都市においてゴミと見なされる剰余物の中から必要なものを獲得したり、無料提供されるサービスをうまく享受する実践例を紹介している。彼によれば、それらはゴミなどでは決してなく、(海の幸、山の幸になぞらえて)「都市の幸」と呼ぶべきものであるという。
そこでは、衣服・食料の見つけ方から、家の作り方、住み方、そしてそうした生活の哲学まで披露されている。そこにあるのは、単純に「ホームレス=悲惨な路上生活」などと、ひとくくりにすることは出来ないような、豊かな生活の実践である。生活のための知恵と工夫とが、そこには詰め込まれているのである。
坂口自身がこうした生活に強い関心を持つ根底には、人間にとってのシンプルな暮らしとはいかにあるべきか、ということを追求する態度がある。現代の社会は、必要以上の供給を前提に、サービスやインフラが整備されており、しかもインフラなどの中身はブラックボックス化されている。
しかし、人間の生活の根源を維持するためには、必要な物の量を知り、自分の身の丈に合わせて生活を作る方が合理的である。その点で、都市型狩猟採集生活は、必要最小限のものを適切に入手し、利用するサイクルを形成しているという点で、実に合理的であり、また環境負荷も少ない。DIYの喜びもある。
こうした指摘は、決してこの生活を実践する一部のひとだけの問題ではない。今回の震災は、僕達の生活を支えるエネルギー供給・消費をどう考えるか、といった問題を(原発事故を中心にして)はっきりと突きつけている。水道や電気(あるいはコンビニのような24時間営業店舗)を、「いつでも・どこでも・いくらでも利用出来る状態」にすることで、どれだけのコストが支払われているのか、あるいはその是非について、僕たちはもっと自覚的になるべきなのではないだろうか。その際に、ここで述べられている実践は(そのまま模倣するというのではないにせよ)示唆深いものがあると思う。
ところで、上記のような生活を興味深いものであるのは確かだが、その難点について批判されることも不可避だろう。路上の生活はなんといっても不安定であるし、健康上の保障はない。この本に出てくる「都市型狩猟採集民」の面々は、ある種の才能に恵まれているがゆえに、こうした生活が持続できているし、東京という街の環境も他の地方都市と比べて有利な面もある。そのため、ここで報告されている実践だけでは「誰でもできる」と一般化することはとてもできない。 また、こうした報告が、貧困問題から目を逸らしたい人間にとって、有利な証拠として作用してしまう可能性も否定しがたいだろう(そういうろくでもない考え方をするやつは多いし)。
とはいえ、本書の提起するスタイル自体は、そうした批判を補ってあまりあるものなんではないか、と思ったりして取り上げてみた。うんw
※おまけ
ちなみに、著者の坂口氏は最近、熊本で「新政府の樹立」を宣言して、「初代総理大臣」を勝手に名乗っているそうであるw 「ゼロセンター」なる家に住みながら、震災の被災者の受け入れなどをしているとのこと。細かいことは僕もよくしらないけどw、興味ある人は、下のHPやツイッター@zhtssをフォローしてみるといいかも。
坂口恭平公式HP ゼロ円ハウス http://www.0yenhouse.com/
※おまけ その2
今度の週末、札幌で坂口氏のトークイベントがあるとのこと。詳細は以下の通り。
場所:札幌市中央区 南7条西4-2-5 LC七番館1F 「湯ん」
入場料:1000円
時間20時半開場。21時開始予定。
要予約→09095218932 desnos911@gmail.com (松岡)
興味ある人はぜひ。
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コメント
おすすめされていたので、同著者の『東京0円ハウス0円生活』と一緒に読んでみました。
ここに出てくる人たちは「ホームレス」というよりは、「路上生活者」という言葉が似合いますね。
路上生活者に関して、こんなにプラスに振り切った本は初めてで、ちょっとびっくりしました。笑
ただやっぱり健康上の問題や「女性は1人では難しいんじゃ・・・」と気になる部分はありました。でも、そんな疑問を補って余りある指摘の面白さですね。
私もたまにはレビューを書こうかなと思いましたが、言いたいことは全部ここにまとめられていて、うれしいような、ちょっと切ないような気持ちです。苦笑
投稿: natchan0809 | 2011年7月10日 (日) 22時18分