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2010年2月11日 (木)

武器を持たずに戦場に行かせるようなマネだけはよしてくれ。

 「労働相談、文化企画、政策研究・提言を若者自身の手で行うNPO法人」のPOSSEからイベントのお知らせです。東京なんだけどね。

『働く前に労働法を学ぼう! POSSE労働法教材完成記念シンポジウム』

職場で違法行為に遭っても泣き寝入りしてしまう若者が大半という状況で、働く前に労働法の知識を身につけておくことの必要性は急速に上がっています。POSSEは、昨年より労働法教育に関する取り組みを行い、高校・専門学校への出張授業や労働法教材の作成を行ってきました。
このたび、高校生・専門学校生・大学生のための労働法教材が完成する運びとなりましたので、これからの労働法教育のあり方をめぐって、高校の現役教員や教育学の専門家を招いて討論を行います。

POSSEは継続して各教育機関への出張授業を行うとともに、作成した教材を提供いたします。今回のシンポジウムは、ゲストや参加者の方から様々な意見を頂戴し、出張授業の改善や労働法教材の改訂など、今後の活動へ向けてじっくり話し合う場としたいと思います。

つきましては、労働法教育に興味のある教育関係者の方、出張授業に参加してみたいボランティア希望者を始め、幅広い方にご足労いただけますと幸いです。
予約は不要ですので、お気軽にご参加ください。

◆イベント詳細◆
【タイトル】働く前に労働法を学ぼう! POSSE労働法教材完成記念シンポジウム
【日  時】2月13日(土)
【場  所】北沢区民集会所(東京都世田谷区北沢4-24-22)
【アクセス】京王線笹塚駅より徒歩10分
      小田急線東北沢駅より徒歩15分
【講  師】角谷信一さん(千葉県公立高校教諭。『絶対トクする! 学生バイト術』著者)
      本田由紀さん(東京大学教育学部教授。『教育の職業的意義』著者)
      吉田美穂さん(神奈川県公立高校教諭)    (五十音順)
【参 加 費】500円
【Program】14:00 開場
      14:30 開始/主催者あいさつ
      14:35 POSSEスタッフによる教材紹介
      14:45 角谷信一さん報告(労働法教育の実態と課題)
      15:00 吉田美穂さん報告(労働法教育の実態と課題)
      15:15 本田由紀さん講演(労働法教育の必要性について)
      15:30 休憩
      15:40 パネルディスカッション「これからの労働法教育の在り方について」
      16:10 質疑応答
      16:30 POSSE紹介
      16:40 終了
      17:00 懇親会へ

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ボランティアスタッフ募集中!

POSSEでは、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、解雇対策キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。多種多様な活動があるので、自分の興味に合わせて能力を発揮できます。少しでも興味のある方は、info@npoposse.jpまでご連絡下さい。
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POSSEは労働相談、文化企画、政策研究・提言を若者自身の手で行うNPO法人です。学生、フリーター、正社員と立場は違えど共にこの社会のあり方に疑問を持った、あるいは社会のあり方にもっとコミットしていきたいという若者が集まり活動しています。

所在地:東京都世田谷区代沢5-32-5シェルボ下北沢301号
TEL:03-5779-1890
FAX:03-5779-1891
E-mail:info@npoposse.jp
HP:
http://www.npoposse.jp/
Mobile:
http://npoposse.jp/mob

 僕が前々から人に会うたびに話していることがあるのだけど、それはまさにこのイベントのテーマになっている「義務教育で労働法に関する教育をするべきだ」ということ。なんでかというと、今の日本では不思議なことに、実際に労働の現場に立つまでに労働法というものについて教えられることはないからだ。

 現在日本では、中学を卒業すれば働くことができる。事実、中卒から就職してフルタイムで働く人も(そう多くはないが)いるし、高校からアルバイトを始める人は多数存在している。しかし、彼(彼女)らが、労働者が行使できる権利や、経営者が守るべき義務についてしっかり知っているかといえば、甚だ疑問だ。

 僕の友人の話だが、こんな話がある。彼は、高校卒業後に諸事情により大学に進学せず、フリーターとして生活していた。彼は、コンビニの深夜勤務で生活費を稼いでいたのだが、ある日「正社員への昇格試験」の話を、社員から聞かされる。その際、その社員から「正社員になるとこういうメリットがある」という話もされるのだが、以下のようなやりとりがあったらしい。

 社員A「正社員になるとな、有休が発生するようになるんだ」

 それを聞いた彼はこう質問した。

 彼「ゆうきゅうってなんですか?」

 もちろん、労働法についてよく知っている方は「オイ!」と突っ込みたくなるような話だろうが、有給休暇は労働基準法によって保障された労働者の権利で、(おおざっぱに書くと)半年間働くことで10日の(給与の出る)休暇が認められるという制度。これは正規・非正規は関係ないので、要するにアルバイトだろうと有休は発生するのだ。しかし、彼はそれ以前に有休(有給休暇)というものの存在を知らなかったのである。

 これをもって「なんて不勉強なやつだ」と言うのは軽率である。何故なら、彼はそれまでの人生において有休というものについて教えられる機会が全くなかったのだから。彼は、その話を聞かされた時点で、一年以上働いていたので、有休は発生していたはずだ。しかし、その存在を教えられなければ、それを消化して給与を得ることは永久にできない。

 労働法(特に労働基準法)などは、労働者が本来自分の身を守るために用いる権利であり、武器である。しかし、そうした武器を持たないまま、押し出されるように社会に出るのが、若者の多数である。実際に、僕も大学の友人に「アルバイトでも有休ってあるんだぜ」という話をすると、「えっ?そうなの?!」と驚く人がほとんどだ。法学部などで、労働法について勉強している人ならば、そうした情報を持っているのかもしれないが、あくまで少数だと思う。

 そうした知識を身に付けず、就職してしまい、現在の日本の「労働法をなんとも思わないような企業文化」に曝されたとき、彼(彼女)らが感じるのは、「有休、全消化なんて都市伝説」とか「サービス残業も仕方ない」といった、感情である。挙げ句に、正当な権利を主張するものに対して「協調性がない」とか「KY」などと呼ぶようなことになってしまう。そんな足の引っ張り合いみたいな価値観はとっとと捨ててしまえばいいのに、そのよりどころとなる知識がない。

 で、そうした状況を改善するために、おそらくもっとも効果的だと僕が思うのが、「義務教育で労働法について教える」ということだ。ただ、いまの学校の先生は忙しいので、手始めに、こうした知識を簡単に解説した冊子のようなものを配布して、「こういう権利があるのよ」と教えるのがいいのではないかと思う。何にもやらないのとでは大違いだろう。その程度であれば、教育の現場でも手作りで出来るはずだ。おそらく、そうした教育のするメリットは、労働法と言うものに対する意識が向上することで、「守られて当たり前」と考えるようになればしめたものだ。

 そういうことを思っていた矢先にこのイベントの情報が入ってきた。ぜひ参加したいけれど、たぶん交通費がないからいけない…誰かスポンサーについてください…(泣

 ちなみに、ここでも就活批判を一言付け加えると、そういう「武器」を授けることもしないで、「いかにして内定を獲得するか」という風に、就活自体を矮小化するようなことをしている大学や就職情報会社、そして就活をやたら美化している学生サークルの罪は重いのではないかと僕は思う。 

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コメント

いつも拝読しております。

義務教育で労働法を教えるのは正しいと思います。他にも義務教育に盛り込むべきことはたくさんあるなと感じています(例えば、基礎的な医学、自分の身体のことくらいは理解できる必要がある。あとは金融の基礎知識、あまりに無謀なローンを組んだりしないなど)。

ただ、おいらのところに来たコメントなのですが、正当な権利を主張するとバカにする風潮が日本にはあるのです。企業側にあるのなら戦えばいいのだけど、労働者側にもいるのです。そう、敵は自分の身近にもいるのです。端的に社畜と呼ぶことにします。

日本は「部分社会の法」という考え方を法曹界でも強く持っているようです。最近はマスコミが騒ぐから少しマシになったけど、少し前までは学校の中でひどい人権侵害(教師のセクハラとか体罰とか)があっても公権力の介入は消極的でした。また理不尽な校則(家族であっても異性と会話してはいけないとか)があっても、それを当然と見做していました。校則が法律や憲法に矛盾しても、部分社会の法(校則)ということで容認されています。部分社会の法という考え方が許される根拠は、その社会に入ったのはてめーの勝手だろ、嫌なら辞めろみたいなものがあります。

さて、これを会社に敷衍した場合には、会社の中でどれだけ労働法を無視しても、会社という部分社会に好んで籍を置いているのだから保護に値しないという風に考えられます。でもこれって変ですよね。学校の場合は自宅から通学県内で、かつ自分の学力で入れるところがDQN高校しかなかったとか、会社も就職難でやっと1つの内定しか取れなかったとか、転職すると不利だからしたくてもできないとか、色々な事情があるでしょう。それでも日本では部分社会論が根強く、そんな言葉を知らない人でも骨の髄まで法律なんか校則とか会社のルールの前にはゴミみたいな考え方が浸透している人がたくさんいるのです。

というわけで、単に労働法を教えて労働者にはこういう権利がありますと言っても、それで騒ぐやつは痛い奴とみなされて誰も付いてきません。制服のある高校で表現の自由だと言って制服を拒否する人は支持されるでしょうか。それと同じです。結局は孤独な戦いになり、正当な権利を主張した人はバカをみます。黙って従っている人は過労死とか鬱病になるとかのリスクはあるものの、とりあえずの生活はできます。

だから、義務教育に労働法の教育を入れるのもいいけど、部分社会論をぶっ壊さないとどうしようもないでしょうね。舛添前厚労大臣が日本は労働法がちっとも守られていないとぼやいていたけど、あの構図を作っているのは理不尽な校則のある高校と同じものです。

投稿: onaneet | 2010年2月11日 (木) 22時09分

>onaneetさん

こんにちは、コメントどうもありがとうございます。

「部分社会の法」ですか。不勉強なもので、初めて聞きました。
なるほど、確かにそういう傾向は日本においては非常に強いですよね。京大における有期雇用の問題(ユニオン・エクスタシーが争っている)に関しても、「そういう契約なんだからしかたねーだろ」みたいなクソコメントが見受けられますが、それもまったく同じですね。

でも、やっぱり戦後の教育が、日本人に「民主主義がいいよね」みたいなイメージを刷り込んだ(洗脳した)ように、労働法教育をすれば、今よりかは「労働法守らないのってありえなくね?」みたいな空気はどんどん生まれてゆくんじゃないかなと思います。

あくまで実感レベルの話ですが、僕の周りの若い人では、結構そういう(「労働法守られてナンボ」みたいな)考えを持っている人は多いみたいです。なので、そこまで「部分社会の法」的な意識に悲観的にもなっていません。(実際、「就活くたばれ」なんて相当乱暴な主張でも、共感してくれる人は少なくないわけですし)

ただ一方で、社畜的なスピリッツを持っている人が少なくないのも分かりますので、社会の常識をぶっ壊していくのは大切だと思いますが…さてどうしましょうか…。

(返答になってない返事ですいません)

投稿: O瀧 | 2010年2月12日 (金) 01時45分

>onaneetさん

>他にも義務教育に盛り込むべきことはたくさんあるなと感じています(例えば、基礎的な医学、自分の身体のことくらいは理解できる必要がある。あとは金融の基礎知識、あまりに無謀なローンを組んだりしないなど)。

これは全面的に同意です。
人間が生きていくのに実用的な知識をもっと教えてくれたっていいじゃないかと思います。現代は、社会が複雑化して、色々なリスクが昔よりも増大していますしね。

投稿: O瀧 | 2010年2月12日 (金) 01時48分

エントリーもコメント欄も面白かったです。
O瀧さんとオナニートさんの対談を生で見たい。

投稿: プー太郎 | 2010年2月17日 (水) 17時46分

>プー太郎さん

どうもありがとうございます。
僕は無学なので、onaneetさんと対談なんかしたら、きっと醜態をさらすことになると思いますw

まぁオンライン上で動画を配信したり、ということは興味があったりするんですけどね。

投稿: O瀧 | 2010年2月22日 (月) 05時25分

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