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2009年12月 8日 (火)

「資本主義後の世界のために」デヴィッド・グレーバー

資本主義後の世界のために (新しいアナーキズムの視座) Book 資本主義後の世界のために (新しいアナーキズムの視座)

著者:デヴィッド グレーバー
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 グローバル・ジャスティス・ムーブメントに携わっている理論家で、「アナーキスト人類学者」を自称するデヴィッド・グレーバーと、同じくアナーキズムに精通している高祖岩三郎による編著で、高祖による、グレーバーへのインタビューが主な内容となっている。

 グレーバーは、資本主義が破綻しかかっている現在の社会のオルタナティヴとしてアナーキズムに注目している。一般的には、「国家がなければ人々は生活できない」と思われているところがあるが、彼はその考えをさらりと否定してみせる。

 彼によれば、共産主義やアナーキズムは、未来において達成すべきものとしてのみあるのではなく、かなりの部分現在の社会においても既に存在している普遍的なものであるという。そのヒントに彼は、人類学者の大家であるマルセル・モースの思想について言及する。

 「贈与論」で有名なモースは、共産主義を「各人は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る社会」と定義する。人間の思考と言うのは必ずしも、両者の損得の勘定のみを至上とするわけではない。見返りを求めない(もしくは厳密な勘定計算をしない)他者への行為というのは普遍的なものである。これは誰もが、理解できるところだろう。そして、私的な所有・権利・利益などに還元されえない人間の行動様式は、全て共産主義的であるし、相互扶助を前提とする点でアナーキズム的でもあるという。

 資本主義は、一見、私的領域の拡大ゲームに人間を陥れているかのように見えるが、その前提となっている相互扶助的な思考には、必ずしも食い込めていない。そのため、グレーバーによれば、現代の資本主義というのは、アナーキズムなどを隠蔽し、その上に寄生する「もっともみじめな方法」に過ぎないのだと喝破する。

 とまぁ分かるような分からないような文章が多く、しかも人類学的な知見に富んでいるだけあって、一度読んだだけではしっかりとは分からなかった部分が多い(特に後半)。ただし、ジョン・ホロウェイの主張を引用して、

「人がこの世界で活動家になったり活動したりするのは、その人が「理論」を持っているからではない。人は抵抗の「叫び」から出発する」

と書いてある部分にはとても共感した。全くいいこと言うね。

 中身が濃いので、何度か読み返してみたい本。

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