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2009年12月12日 (土)

「絶対貧困」石井光太

絶対貧困 Book 絶対貧困

著者:石井光太
販売元:光文社
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 この本はいわゆる「途上国」の貧困について書いている。

 本編は、スラム編、路上生活編、売春編と分かれていて、ノンフィクションライターとして現地で衣食住をともにしてきた著者の個人的な経験などを交えて書かれている。

 多くの人が指摘していることではあるだろうけれど、この本の素晴らしいところは、その貧困状態にある人々の描き方である。具体的には、それを「貧困」という言葉から連想するような「悲惨さ」一色に留めず、そこで生きる人々のたくましさや喜びを生き生きと描いているということである。つまり、人間が生きていれば、そこにどんな形にせよ人間的な感情があるはずで、経済的な格差(南北問題など)を前提に語られる「発展途上国の飢餓」や「感染病」などのみがそこに生きる人々の全てではない、という当たり前のことを、しかし等身大の人間として飾らずに書いているのである。

 ただし、だからといって、「途上国」の置かれている現状がそのままでいいということは決してなく、それは改善すべき問題点を無数に含んでいるし、実際に目を覆いたくなるような話がいくらでも載っている。ちょっと旅行に行ったぐらいじゃ見えない話がわんさかあって興味深いが、おそろしくもある。

 ちなみに、この本に関して、僕が指摘したい問題点は、こうした「途上国」の絶対貧困を見すぎているせいか、むしろ日本などの「先進国」における貧困の問題について、どこか軽いものと考えているようなところがある。曽野綾子などは典型だが、こうした「途上国」のリアルを知っている人は、そういう見方をする嫌いがある。

 もちろん、露骨に「日本は豊かでいいよね」などというわけではないが、「日本のホームレス」や「日本人の売春婦(風俗業従事者)」のことをそこまで問題であるとは見なしていないように読み取れる箇所があった。当事者の置かれている悲惨さには客観的指標など意味を持たないと思うのだけれど。

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