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2009年12月13日 (日)

「格差社会--何が問題なのか」橘木俊詔

格差社会―何が問題なのか (岩波新書) Book 格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

著者:橘木 俊詔
販売元:岩波書店
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 実家に置いてあったので、勝手に札幌に持ってきた本。

 小泉内閣による「構造改革」に対して、「格差が広がることは社会にとってマイナスだ」とNOを突きつけた一冊。

 著者によると、格差の拡大は、必ずしも小泉による「構造改革」のみが原因ではなく、それ以前にもさかのぼることが出来る。しかし、「構造改革」がそれを是正するのではなく、むしろ推進していたということに対して、国民はどう考えるのか、そのような社会がそこに住む人にとって果たして望ましいのか、ということについて考察している。

 それによれば、格差の拡大は決して個人の問題ではなく、階層固定化の問題や、労働力の不活用など、様々な問題を孕んでいる。特に貧困者の増大は、決して放置していい問題ではないと説いている。

 要するに、「格差があって何が悪い?」に対する反論。
 これが改革旋風吹き荒れる2006年に出版された意義は大きいだろう。

 文章が非常に読みやすいので、「自己責任論」を信奉する人にはぜひ一度読んでみてほしいところである。

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本読んだよ。」カテゴリの記事

コメント

このブログでもソーシャルライブラリーの書評を載せることにしたんすか?楽しみです。

ところで宮下公園の例の件を取材してまとめた映像作品が無料で配布されているそうです。DVD・CDで。製作者のサイト:http://www.ourplanet-tv.org/video/contact/2009/20091207_10.html
まあすでに知っているかもしれませんが、一応

私事ですがmixiやめました。mixi内のサンシャイン牧場というゲームにハマりすぎてやばかったので

投稿: idea_glue | 2009年12月13日 (日) 04時37分

こんにちは。ブログには初コメントです。
書評読むの好きなのでどんどん書いていただけると嬉しいです。

僕自身は、近年格差が急激に拡大したというのは
間違いだという考えを持っています。
そもそも、日本は昔から格差社会だったというのが
僕の現段階での考えです。

といいますのも、階層の閉鎖化が近年になって見られはじめたという指摘は、階層・階級論では実は一般的ではありませんで、
階層は徐々に開放的になっているというのが通説です。
佐藤俊樹が、『不平等社会日本』の中で、日本社会が階層固定化の傾向にあることを1995年のデータを用いて明らかにしたことで話題を集めましたが、
2005年のデータでは彼の仮説は当てはまらず、自説を撤回しています。(そもそも彼のデータの取り方が恣意的だという
批判は社会学の内部でもありましたが)


所得格差の問題ですが、これは非常に判断が難しいですが
大きな格差が拡大されるのは、若者と高齢者です。
中年層間の格差はそれほど変化していません。
つまり、社会全体が格差社会化しているのではなく、
コーホートで区切って部分的に見れば、格差が拡大している
と言えるに過ぎないというのが本当のところだと思います。
これは近年の若年非正規雇用労働者の増加と
高齢化の影響によるものだと解釈できます。

従って社会全体が不平等化しているというのは間違いであって
部分的に不平等化が進展したというのが実態だと思います。
長期的なスパンで見れば平等化している部分も当然あります。

僕が思うに、もともと日本はそれほど平等な国では
なかったのではないかと思います。
原・盛山『社会階層』の中で詳しく説明があるので
読んでいただけるといいと思いますけれども、
高度成長期に急激に豊かになっていった日本では
日に日に生活実感が良くなっていったために、
実際にあった不平等がうまく隠蔽されていた
しかし、経済成長が頭打ちになると、
日々豊かになっていく生活実感でごまかされて来た
不平等の実態が明るみに出てきた、というのが実態にあう
解釈のような気がします。

だから、僕は以前と比べて格差社会になったという言い方があまり好きではありません。格差社会になったというのが左翼のイデオロギーとして実態とかけ離れて、
一人歩きを始めている今の現実に若干の不快感を覚えます。

しかし、だからといって今の格差・貧困問題を放置していいとは
当然思いません。若年層で非正規雇用が増え始めたのは
近年の現象であることは間違いないですし、これを
放置しておくと近い将来とんでもないことになるのは
間違いない。

つまり長くなりましたが、近年格差社会化が進んだというような
大雑把な議論をイデオロギーとして使うのは辞めて(最近こういう論者が非常に多い)、
現実の問題を冷静に分析していくという姿勢が必要に
なってくるのでは無いかと思います。

投稿: ドゥオーキン | 2009年12月17日 (木) 13時18分

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