« 北大祭の「政治主張禁止」はダメ!ゼッタイ! | トップページ | 北大大麻問題研究会とはなにものか »

2009年7月19日 (日)

大麻について知るための三冊。

今回は大麻について取り上げた本を何冊か紹介する。厚労省の発信する似非知識にまどわされないためにも、こうした知識は必要であるので、参考にしてほしい。

大麻入門 (幻冬舎新書) Book 大麻入門 (幻冬舎新書)

著者:長吉 秀夫
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

始めにとりあげるのは、今年の初めに出版された幻冬舎新書の本書。日本では「有害な麻薬」として認識されている大麻が、実は吸引などの使用をしても大きな害はないということや、繊維素材として日本の歴史と縁深いこと、また医療やバイオエネルギーなど様々な用途で有用な植物であるということを明らかにしている。

大麻取締法成立に関する歴史的な経緯も述べられているので、タイトル通り「入門」としてふさわしいかもしれない。

特に海外での「ハームリダクション」についての記述が載っていることが素晴らしい。ハームリダクションとは、社会で生活する個人が、社会的な被害を受けないで済むためにはどのような方法が有効かを考えて、対策をとるという概念である。

例えば海外(欧米)で大麻の取り締まりがゆるいのは、「大麻使用や所持によってもたらされる害よりも、大麻所持などで逮捕されることによって生じる社会的な被害の方が大きい」という判断による。大麻の所持などで逮捕されてしまえば、何の社会的な問題も起こさずに生活していた個人の人生を破綻させてしまう可能性が高いからである(日本の大麻取締法はその点で対照的である)。他にも、ヘロインを使用するものが一定数いることを考慮して、繁華街で注射針を配って(回し打ちによる)感染症を防ぐ方法などもある。

日本では、避妊や性感染症を防ぐための方法を学校で教える性教育がこれにあたる。これについて、「寝たことを起こすようなことをするな」と反対する意見もあるが、実際に性行為に及ぶ高校生などが一定数いることを考慮すれば効果的な対策といえる。

日本におけるドラッグ対策は、基本的に「ドラッグをやるとこんなに危険なことがある。とにかくドラッグには手を出すな!ダメ・ゼッタイ」というように、恐怖を煽って遠ざけるという手法だが、これは実は実際に手を出してしまう人間が被る害のことを考えていないという意味で子供だましに近い。言うなれば「未成年でセックスをすると頭がおかしくなる」と吹き込むのと同じくらい愚かな政策なのだといえる。

ちなみに、「大麻の『麻』は麻薬の『麻』である。だから大麻は麻薬なのだ」という言説に対して、元々は麻薬の「麻」の字は、やまいだれに「林」という字をあわせた「痲」(「しびれる」という字。おそらく「麻痺」の「麻」の字はこの字だったはず)を使っていたが、1949年に定められた当用漢字のルールに沿って「麻薬」と表記されるようになったのであって、基本的には全く別の字であると書いているのは興味深かった。

大麻ヒステリー (光文社新書) Book 大麻ヒステリー (光文社新書)

著者:武田邦彦
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』『偽善エコロジー』などが売れている著者の近著。これもごく最近出版されたばかり(2009年6月)

科学的見地から大麻を取り巻く日本の状況について異を唱えている。主な内容は、大麻取締法が成立することになったきっかけや科学的なデータの紹介、大麻と日本人の歴史などで、多くの内容は『大麻入門』と重複しているので、この本も大麻の入門書としていいかもしれない(ただ、個人的には『大麻入門』の方がオススメ)。

また、大麻取締法がかなり非合理的な法律であることをマスコミや司法が正さないのは殆んど職務怠慢であると言及していることは共感を持てた。

ただ、個人的には武田氏のまわりくどい文体や妙な知識をひけらかすような書き方がうっとおしく、あまり好きではない。特に「日本の美しい伝統・文化としての大麻」のような大麻の恣意的な位置づけについては、あまり共感できなかった。大麻取締法がアメリカ(GHQ)による押し付けの結果として成立したことに対する反感からか、大麻擁護論者の中には、ナショナリスティックな意識が見られることは注意を要する(中山康直氏など)。

マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫) Book マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫)

著者:麻枝 光一
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

日本発の大麻グッズ専門店である「大麻堂」店主である「麻枝光一」(本名:前田耕一)氏の若かりし日の旅行記。

内容は簡単に言うと、世界中(アジア、中東、北アフリカ、南米アメリカ大陸)を旅行し、そして行く先々でマリファナをはじめとする様々なドラッグを試した体験記。時代はかつてバックパッカーが流行した80年代ごろのようである。

麻枝氏が愛用するのは大麻(マリファナ及びハシシュ)であるが、その他にもアヘン、ヘロイン、コカイン、マジックマッシュルーム、LSD、スピード、幻覚サボテンなど、ともかくその地で出会う様々なドラッグを使用してみる。そしてそれぞれのドラッグがどのような効果をもたらすのか、その様子が本書には詳しい。

この本は、元々は第三書館というかなりアウトローな(というかアナーキーな)出版社から発売された本で、現在容易に入手できるのは幻冬舎アウトロー文庫版である、というとなんともアウトローなイメージがあるが、かなり実用的なものであると僕は考えている。

先の『大麻入門』でも書いたが、それぞれのドラッグがどのような効果、弊害があり、もし使う場合にはどのような点に気をつけて使うべきであるといった知識は、実は実用的なものだからである。

例えば、日本の覚醒剤である「シャブ」は快感も強いが、その反動としてのフラッシュバックや妄想・禁断症状がひどいため、ドラッグ愛好家でも「シャブだけはやらない」というものがいる、という話などは非常に有用な情報であるといえる。

ちなみに、この本を読むとすごく海外旅行に行きたくなる。ちょっと異色の海外旅行記としても十分楽しんで読むことが出来る。

※※※

大麻について日本人が知るべきことは、一つにその使用が必ずしも有害ではないということ、二つに海外ではその使用や所持が厳しく罰せられる国は少ないということ、三つに医療や産業で大きな可能性を秘めたものであるということだろう。

「危険」「ダメ・ゼッタイ」だけでは何も問題は解決しないどころか、公的な情報に対する信頼性すら失ってしまうのではないだろうか(それが情報リテラシーを得る一つのきっかけになりうるのかもしれないがでもあるかもしれないが)。

|

« 北大祭の「政治主張禁止」はダメ!ゼッタイ! | トップページ | 北大大麻問題研究会とはなにものか »

timer(大麻)について」カテゴリの記事

本読んだよ。」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1235827/30615073

この記事へのトラックバック一覧です: 大麻について知るための三冊。:

« 北大祭の「政治主張禁止」はダメ!ゼッタイ! | トップページ | 北大大麻問題研究会とはなにものか »